創立60周年記念 座談会 (平成25年10月3日)
地域住民へのインフラ啓発
地域活動 ㈱進栄 代表取締役 進藤 竹則
私ども小樽建設協会建世会では、全国建設青年会議が宣言した「建設産業の市民化」を目指し、「全国建設青年の日 (7月28日)」に各地でイベントなどの地域活動を行っております。
建世会としては、平成16年の黒松内町の朱太川での稚魚の放流を皮切りに、ニセコ町の道の駅「ニセコビュープラザ」での花の植え替えと交通安全の啓発や、フットサル大会を開催してきました。平成21年からは「高速道路体験バスツアー」を実施するなど多くの地域活動をしてまいりました。
特に「高速道路体験バスツアー」では、小学生と保護者、関係者を含めて総勢100名程度を、大型バスで高速道路の利便性を実感するとともに、工事現場を見学し、土木技術に関心を持っていただくことを目的とし、過去 5 年間にわたり実施してきました。
子供たちが、ふだんバリケードに固まれている工事現場に入り、自らヘルメットをかぶり、建設機械などに直接触れ、目を輝かせているようすを見ると、子供たちが建設産業をより身近に感じるいい機会になったと思います。子供たちに将来の建設業を担う人材となってもらうためにも、自分の住む町の近くに高速道路のような大きなプロジェクトが来ることも大変重要だと感じます。
参加した子供たちが自分で車を運転するようになるまでには、小樽〜余市間の高速道路は完成していますが、その先自分たちの町にも高速道路が来るということが実感できれば、将来自分もそれに関わりたいと、さらなる興味も湧いてくるのではないでしょうか。そういったことを子供たちが考える、よいきっかけをつくることもできたと思います。
協会の諸先輩がつくり、活動してきた建世会の伝統を、さまざまな「地域活動」を通して、次の世代に受け継いでいくことが大切であると感じております。
今後も協会および建設産業に少しでも寄与することができるよう、活動していきたいと思っております。
地域活動への意見 アドバイザー 今
これまでも建設業者は市町村のイベントなどで資金や資機材、そして人を提供してきたかと思います。地域のイベントを、より賑やかなものへと、陰で支えていたのが建設業であり、それは今でも変わらないでしょう。
一方、最近では、建設現場を広く市民に見せる活動も多くなってきています。それは、建設業の仕事を広報することにとどまりません。大切な地域活動です。このところ、「大人の社会科見学」などというキャッチコピーで、企業の生産現場や産業遺産、土木遺産などを訪れる新たな動きが始まっています。
これは、ものづくりの現場をあらためて見ることで、私たちの生活を支えている、さまざまな「もの」が生まれる実感を味わいたいのだと思います。さまざまな仕事が専業・分業化されており、日常生活が総合化されていないことに、もどかしさやむなしさを感じているからではないでしょうか。
建設事業は総合的な営みです。単に「もの」をつくるだけではなく、自然と関わりあい、人と関わりあいながら「もの」と「仕組み」をつくりあげていきます。その仕事は地球が相手ですから、躍動感あふれる営みです。
これまでのように篤志的な活動も大切な地域活動です。その上で、人々の「ホンモノを見たい。感動したい。未来を知りたい」という想いに応えることも、地域活動のひとつとして取り組んではいかがでしょうか。地域の未来を語ることができるのは、地域に根ざした建設業とその現場です。
自分が苦手とすることで地域に貢献するのではなく、自分が得意とすることを通して、市民が求めるところに応えていくことが、「相手よし・自分よし・世間よし」の三方よしとなり、結果として、建設業への信頼はより高まり、地域開発も進むものと考えています。
地域活動への意見 吉本会長
道路の必要性を建設業の立場で、地域住民や子供たちに伝えるべきことは、「安心・安全」への建設業の貢献です。建設業界がそれを陰で支えているという事実は、大人になればわかりますが、地域にとって高速道路はなぜ必要かを説かねばなりません。
だから武内さんは「地域を学べ」と言ってきました。例えば、「地域の産業や生活が豊かになるから」という理由をあげたとき、その理由は地域によって異なります。だから「地域を学べ」と言っているのです。観光業や商業がインフラ整備を望む場合は世間を納得させられるように、「地域のソフトを先に提案し、ハードの必要性を喚起するべきだ」という、説得力のある手法を提示しています。
つまり、地域の産業や生活を豊かにすることを課題に
した学びが大事だということです。したがって建世会の方々自身が学べる地域活動を、今後立案して実行することも重要だと思います。
例えばこんなことを思っています。今回のパネル展で多くの意見を聞くことができました。一般の人々が我々に期待していることを考えると、業界の今後の勉強課題が見えてきます。これらを学び、学んだことを地域住民に広報し、インフラへの正しい情報提供をする活動も、新たな地域活動といえるのではないかと思います。
つまり武内さんのご指導は、若い方々に大事なことを気づかせるものでした。今後はその学びを基礎にして、公共事業やインフラの学びを地域活動で集中して、具体的に進めていくという手法もあるかと思います。
地域活動への意見 進行 石井
ただいまの会長のご提案の延長になりますが、その学びのなかで、例えば農業土木の学びでは柏谷さん、道路に関しては菅原さん、維持に関しては長さんというように、建世会の若い方々がそれぞれ専門の研究分野を担当したら、素晴らしい組織になると思います。そして協会員全員でその知識を共有し、これからの公共事業のあるべき姿を模索し、関係機関に実現を要望していくなら、それ自体が地域になくてはならない存在になると思います。