創立60周年記念 座談会 (平成25年10月3日)

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地域の事情を熟知している建設業の智恵を維持に生かす

維持   ㈱長組 代表取締役副社長 長 勇人

 

 先のアンケートでは、維持分野は災害・国道・港湾に次いで4番目に興味がある結果となりました。すべての年代で10%を超えており、各年代とも興味が高いことがうかがえます。これは、夏期の除草作業や補修作業、冬期の除排雪作業が住民に身近な存在であり、生活に資する役割が大きいためと考えられます。
 近年、維持除雪費の予算減少により、除草作業は減少し、舗装のポットホールは増え、除雪レベルが低下しています。このため、交通事故の増加やサービス低下が発生しているのが現状です。今回のアンケートにおいても、舗装のデコボコや除雪に関する維持関係への批判が多く見受けられました。インフラの問題点としては、施設の老朽化が取り上げられており、中央道笹子トンネルの天井崩落事故が発生し、大惨事となったことは、記憶に新しいところです。
 救急搬送や災害時の緊急避難路の確保はもちろん、車輌の快適な走行や景観改善など、維持管理は地域の「安全・安心」を守るため重要な役割を果たしています。しかし、観光立国の実現へ向け重要な地域である北海道において、現在の道路状態は悲惨な状況であると言わざるを得ません。
 現在のような発注形態の維持管理は、本当に地域のニーズに適応しているのでしょうか。今後の維持管理において、地域特性を反映し、地域のことは地域で守るというような意識を共有し、建設業者が地元漁業者や組合、町内会などと共同して維持管理を行うことも含めて提案していきたいと考えています。
 例えば、今まで路肩の草が伸び放題で、密漁監視の妨げになっていたが、除草をすることにより密漁が防止できたなど、地域住民の声を反映していくような仕組みづくりが必要なのではないでしょうか。地域を熟知している地元の業者が、地元の安全を守り住民の期待に応えていく必要があります。
 それが地域密着型の維持管理であり、本当の地域貢献になり得るのではないかと考えています。

 

 

 

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維持への意見   アドバイザー 今 尚之

 

 「地域密着型の維持管理」という提起は、大変重要な視点を提供するものと思います。後志地域をひとくくりにしても、四季を通じて気象条件は異なり、地質や地形はもちろん、海岸に近い遠いなど、自然環境も異なります。また、同じ施設・設備でも地域によってその使われ方は異なります。
 そのような地域個々の現場を知っているのは、やはり地元の建設業者にほかなりません。例えば冬季、車で移動していると除雪のよしあしが異なる経験をします。これは、道路設備の特徴だけではなく、おかれている自然環境などを熟知した建設業者が除雪にあたっているかどうかによるものではないでしょうか。どこに吹きだまりができやすいか、日中は融けるが夜間には凍ってしまうなど、地域に精通しているからこそわかり、対応ができるものと思います。この、「道路を守っている」という誇りを持った業者があってこそ、私たちの安全な暮らしが確保されます。
 維持管理をお金による力任せに行う時代は終わっています。その地域を知りつくしている業者が、最適な取り組みを行うことが、無駄のない、そして次世代につながる社会資本の維持管理になります。
 このことが地域開発の基礎になります。

 

 

 

維持への意見   進行 石井

 

 これこそが提案型の建設業だと思います。北海道、そして後志には地域的な現場特性というのがあります。これを最もよく知っているのは、常時道路の維持管理を担っている建設業者です。ぜひ積極的に、地域でできることを研究していただきたいと思います。

 

「道路の使われ方というソフトを分析したハードへの対応」 >>

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