創立60周年記念 座談会 (平成25年10月3日)

1> 2> 3> 4> 5> 6> 7> 8> 9> 10> 11> 12> 13> 14> 15> 16> 17> 18>

防災に関わる立場で最も近くにある建設業

防災   ㈱吉本組 代表取締役副社長 吉本 貴昭

 

 先般、小樽建協60周年事業として「地域インフラを考える」パネル展でアンケートを実施した結果、最も興味のある分野が「災害」でした。年代別では20代から60代まで、特に社会で活躍する世代で関心が高いこともわかりました。昨今の異常気象・天災など、過去に経験したことのない現象の増加も要因と思われます。
 地域の生命・財産を守る地域建設業の役割が、今後さらに重要になってくるということは、アンケート結果での関心の高さから見てもよくわかります。しかし、我々に対する負のイメージは払拭できていません。災害が起きるや否や、直ちに地域の建設業者が不眠不休で作業にあたっているにもかかわらず、その活動はマスコミなどに取り上げられることは皆無です。普段の生活では安全な道路やインフラがあって当然と思っています。
 東日本大震災でも、地域の地形や特徴を熟知した建設業者でなければ、道路啓開作業なども困難を極めたと思われます。それらの作業は自衛隊や救急隊が到着するためになくてはならないことです。このように国民の生命財産を守る建設業者が、尊敬や感謝に値しないと思われているというのはいかがなものかと感じています。
 警察官や自衛官と同様、使命感にあふれる産業となることで、意識の高い若者の雇用が増え、技術と技能の継承もできます。そのためには、地域住民に対する広報活動も必要になってくるでしょう。東日本大震災では、自衛隊の活動が大々的に取り上げられました。不要論が噴出した過去の教訓から、生き残るための行動を検証した結果です。私たちにとって困難な課題ですが、私たち自身の新しい啓発運動を模索したいと考えています。
 建設二世会の立場では、留萌地区の萌志会さんが地域住民を巻き込んだ「防災運動会」を実施し、その活動がNHKで放送され、全国的にも高く評価されました。災害は時と場所を選ばず突然やってくるものですから、テレビで見る出来事は決して対岸の火事ではありません。我々も地域に必要とされる建設業者の実働部隊として、災害事にも万全の態勢がとれる企業でありたいと考えています。

 

 

 

防災への意見   アドバイザー 今

 

zadankai_page10_01 zadankai_page10_02 「防災」という言葉には、「災害を未然に防ぐ」「被害の拡大を防ぐ」「災害の復旧をはかる」という三つの意味があります。
 例えば、河川整備を行い、洪水氾濫から農地や市街地を守る、治山工事を行い土砂災害に備える、街区整備をして火災に強い街をつくる、防潮堤をつくり高潮から街を守るなど、これまで私たちが目にしてきた防災工事事業は、一つめの「災害を未然に防ぐ」ことを大きな目的として行われ、建設業がその役割を担ってきました。近年では、避難・誘導に必要な情報収集や提供、日頃の防災教育や防災訓練もこの一つめの「防災」として重要視されています。ここでも維持管理にあたる建設業の貢献を見逃すことはできません。
 二つめの「被害の拡大を防ぐ」は、いざ災害が発生したとき、適切な対応が求められるということです。洪水のとき水防団が出動し土嚢を積み上げる、流出した土砂による天然のダム湖などが出現したとき、土砂災害につながらないように対策を行うことなどがあります。二次災害の恐れがあるなかで、建設業の方々が対応工事を行っていることを、国民はあらためて認識する必要があるでしょう。もちろん、発災時における適切な避難・誘導を行うことも重要な取り組みです。
 三つめの「災害の復旧をはかる」は、東日本大震災での復興事業を見てもわかるとおり、災害に見舞われた地域を再び生活の場として元に戻す、さらに災害に強い地域とすることです。復旧作業における初動時での建設業の役割はいまさら申し上げるまでもないでしょう。東日本大震災で津波災害に見舞われた地域では、まず建設業者がガレキを除去することなどをして道路の啓開を行い、そこから救出作業が始まっています。
 こうしてみると、「防災」において建設業が密接に関わっていることは明らかです。そしてこれからもそれは変わりません。そこで、しっかりとした関わり方をするという決意が、吉本会長の「私たち自身の新しい啓発運動を模索したい」という言葉に表れていると思います。災害が発生して緊急に出動するなかに、自衛隊や警察・消防とともに建設業の方々でなければできない役割があり、それを担っているという事実があります。それにもかかわらず、建設業が関心を持たれない、脚光を浴びることがないのは、マスコミの報道姿勢にも問題があります。しかし、建設業がここで「オレがオレが」と自己主張をすることよりも、安全な国土づくりとはなにか、地域開発・地域振興とはどういうことなのかを根本から学び、理論を持つべきでしょう。
 地域の「安心・安全」のために必要な社会資本のありかたを学ぶことは、地域の将来を提言するために不可欠です。マスコミに取り上げてもらうことを声高に訴えるよりも、地域の災害への備えと防災体制づくりを、建設業の方々がコーディネートしていく努力を積み重ねた方が「粋」なことと思います。建設産業が得意とし、また責任を持っている土俵で勝負することを忘れてはいけないと思います。

 

 

 

インフラ・ビジョンまとめ   進行 石井

 

zadankai_page10_03 建世会の皆様ありがとうございました。吉本会長や今先生のアドバイスを参考に、今の時点でそれぞれのインフラビジョンを改良していただければと思います。そしてぜひ、それぞれの専門性を磨き、共有し、社会に必要とされる建設協会を目指していただければと考えます。
 前段のまとめと感想を、吉本会長よろしくお願いいたします。

 

「地域に必要とされる建設業になるための汗をかこう」 >>

1> 2> 3> 4> 5> 6> 7> 8> 9> 10> 11> 12> 13> 14> 15> 16> 17> 18>

ページのトップに戻る
トップへ戻るボタン