創立60周年記念 座談会 (平成25年10月3日)

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北海道の基幹産業を支える建設業

農業土木   横関建設工業㈱ 代表取締役社長 相谷 匡胤

 

 北海道は国内最大の食料生産地域であることから、これまで食料増産対策、機械化や安定した生産性を確保するための農業基盤整備、すなわち生産基盤の整備に加え農村の環境整備も総合的に実施していく農業農村整備と長年にわたり取り組んできました。
 近年は、農業事業者が主体となり、生産のみでなく加工・販売までを行う6次産業化やブランド品としての付加価値向上、また農作物の多種多様化への対応、農業体験や景観といった観光に対応した農園化、技術の進歩による無人化など、農業のありかた、農村のありかたが変化してきています。羊蹄山麓においても、地域として観光に力を入れはじめていることもあり、これらの動きは顕著に表れてきています。
 一方、ゲリラ豪雨などの異常気象、後継者不足、農業水利施設などの老朽化や凍害、TPPへの対応などの課題も抱えています。
 こうした変化や課題に対応していくための基盤として、農地再編整備や施設のメンテナンス、改修などが行われてきています。これからは、一般土木とは違う農業土木という特殊性、北海道という地域性に合った仕組みづくりを、発注機関や農業事業者とともに早急に進めることが、農業土木事業として継続し、よりよい成果をあげるために必要であると考えます。
 今の農業土木事業は、営農計画を優先し、春の雪解け後から作付の前まで、あるいは秋の収穫後から降雪前までという厳しい工程で作業を行うことが多く、工事や農業基盤の品質確保の面で支障が出ています。早期発注により、通年で効率的な時期に施工できるように、休耕も含めて営農計画を調整できれば、合理的な整備が可能になります。
 また、農業事業者にとって財産であり命ともいえる農地に手を加えるため、一般土工とは比べものにならないほど、土の一つ一つまで大事にする必要があります。受益者負担が発生することからも、受益者との調整を図りつつ作業をするなど、大変神経を使う仕事になっています。発注者・施工業者・受益者・市町村などの立ち位置を明確にし、計画段階から良好な関係を築き、連絡体制を確立することで、 トラブルなく、よい条件で整備ができるようになるのではないかと思います。
 このように農業と農業土木の課題に向き合い、農業事業者や観光事業者などと情報交換をし、農業に関する知識を学び、他業種の考え方や気持ちを知ったうえで、建設業者としてどのような貢献ができるかを考えていかなければいけないと感じています。
 建設業というと、一般にはダム・橋・道路というようなイメージが強く、農業土木という分野が、建設業者の仕事として存在しているということはまだまだ知られていません。農業を含めた食や観光に力をいれる地域であるからこそ、その基盤をつくる農業土木という仕事が適正に行われ、従事する技術者が育ち、継続的に行われていくような仕組みを築いていきたいと考えています。

 

 

 

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農業土木への意見   アドバイザー 今 尚之

 北海道は冬季間の施工が難しいことなど、条件の厳しいなかで、農業土木をはじめ、多くの建設事業が実施されている事実は認識しております。ただいまのビジョンをうかがい、あらためて皆様に敬意を表したい気持ちです。
 農業土木分野における建設業者が持つ、技術の進化も評価されるべきものが数多くあると思います。条件が厳しいからこそ、技術も進化します。また農業は食料生産ばかりでなく、観光における価値でも重要な位置を担っています。エコツーリズムや農村観光などは、都会では体験できない「もの」や「こと」を求めるものですが、人々をひきつけるものは、なんといっても美しい農村景観です。手間ひまをかけて整備された農地や住宅からなる美しい景観は、安全でおいしい食べものを生産する地域というイメージももたらします。
 現在、棚田などが世界遺産として登録され、わが国でも、文化財保護法の対象として重要文化財的景観に選定される地域も数多くなってきました。美しい農村景観は、農業者が手間ひまをかけて大切に育て、手を入れている農地、そして農村がなければ観光は成立しません。 

 

 将来に向けた農業土木事業と、これを支える技術があってこそ、食料生産の基盤整備が進み、農村づくりの充実がもたらされます。それとあいまって観光なども盛んになり、多様な経済活動が営まれる農村となることでしょう。このことはまさに地域開発です。地味な取り組みを重ねる農業土木と思いますが、ぜひ、誇りをもって次世代へその意義と技術を継承してください。

 

 

 

農業土木への意見   進行 石井

 農業土木について専門的に追究するというご提案でした。農業王国である十勝などには、こういった先進事例があるかもしれませんが、農業は後志の基幹産業でもありますから、実に有益だと思います。治山治水や土壌改良などの研究も含めて、より地域に貢献する農業土木ができるような実績を蓄えられればと思います。

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「地域の事情を熟知している建設業の智恵を維持に生かす」 >>

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