創立60周年記念 座談会 (平成25年10月3日)

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地域世論と地域インフラの密接な関係

世論対策   副会長 阿部建設㈱ 代表取締役社長 中野 豊

 

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 今一度、パネル展を開催した理由を実行委員長の立場で振り返ってみたいと思います。なぜならパネル展により、一般市民の世論の一端が理解できたからです。
 近年の景気の低迷や公共投資の減少傾向などにより、建設産業を取り巻く環境は厳しさを増しています。さらに供給過剰による受注競争の激化などにより、地域を支える建設業が疲弊し、就労環境が悪化、担い手の確保に支障をきたしています。そうしたなか、東日本大震災が発生しました。建設業は震災の復旧に真っ先に取り組み、インフラ整備にも貢献しているにもかかわらず、一般市民にその認識が伝わっていないのではないかという疑問が生じました。
 震災以前から、若年層の人材確保が深刻な課題になっている理由は、建設業に魅力がないことに起因し、災害時の復旧活動が報道されないのは、建設業に対する一般市民の認識が低いためであると考えていました。
 これからの建設業を考えると、このままでは、若い技術者に対して技術・技能の伝承もままならないし、人材不足のため、災害対応もインフラ整備の維持もできない地域が出かねないという危機感が建設業界全体に広まっていました。
 そこで、建設業の必要性・魅力を訴え、建設業に再び若い人材が戻るべく、一般市民にアピールする必要性があると叫ばれ、私自身も同じように考えていました。
 同じ憂慮を持った国は、「建設産業の魅力を発信するためのアクションプラン」を昨年策定、それを受けて道建協が「道内建設業のための戦略的広報ガイド」を作成しました。こうした国や道建協の考え方に沿って、パネル展を開催しました。これには一般市民の建設業に対する認識の度合いを探ろうという意図もありました。
 今回のパネル展で、来場者の方々に内容がよく理解された、災害時の建設業の緊急活動を半数以上の方々が認識している、というアンケート結果は、うれしい限りです。もっと PR すべきであるという意見が、半数以上占めていたことにも勇気づけられました。
 今後、一般市民、特に若い世代に、我々建設業の魅力・必要性を発信する必要性があると確信した次第です。
 本日の議論では、「オレがオレが」より、地域インフラの重要性を啓発するという土壌づくりによって世論を喚起すべきだという方向も確認できました。
 地域世論を形成する糸口は、インフラのさまざまな課題を我々自身が学び、咀嚼し、地域とインフラの関係を明確にして、地域の人々にわかりやすく説明できるようにすることが第一の条件と考えています。
 そのためには、関係官庁とも連携して、中学生でも理解できる小冊子・ホームページ・DVDなどを制作し、説明のできるスタッフを協会内に育成することが、第二の条件となるのではないでしょうか。つまり学び、伝え、説明員の育成という段取りです。
 現在のように地域とインフラの関係が軽視されているままでは、インフラの重要性を認識した世論が高まるはずはありません。インフラは地域になくてはならないものという意識が市民権を持たない限り、本当の意味での世論とはいえません。
 今回のパネル展は、その切り口が見えたという意味で、実に有意義な事業であったと確信しています。
 あらためて会員の皆様のご協力および本日の座談会での議論に感謝したいと存じます。

 

 

 

世論への意見   吉本会長

 

 ただいまのご提案で最も大事なのは人材の育成ですね。協会員の25%が65歳以上ですから、なおのこと重要性を感じます。
 先ほどの長委員長のお話の中にもありましたように、この10年間で我々の業界は、公共事業削減により、どんどん合理化され、優秀な人材まで諦めなければならない危機的な状況に直面していました。
 そして本日を迎え、あらためて感じるのは、危機的状況を脱する最大の武器は人材だということです。武内さんも「企業は人なり」と口をすっぱくしておっしゃっていました。
 求職者は、建設業は汚くてイヤだとか、公務員や銀行は安定しているからいいといったことでなく、まず人を大事にする企業かどうかで判断してほしいし、一方、求人者が求めるのは、伸びようとする人材であるという良質な関係でありたいと思います。求職者がインフラの重要性を認識しているのといないのとではまったく状況が違ってきます。こういう意味でも世論がいかに重要であるかがわかります。
 例えば今の求職者が、仮にパートやアルバイトだとしても、ハードな仕事よりソフトな仕事に流れるのは、時代の傾向ばかりではなく、その一端を担う我々業界にも責任があるのです。武内さんが業界の現状を見て最初に憂えたのは、この人材だったのではないかとあらためて思います。
 佐々木副会長、長委員長、そして中野副会長が指摘されたように、まず我々はインフラについて勉強しましょう。勉強した内容が、防災対策や世論の喚起につながっていくのですから。そのなかで若い建世会の皆さんがそれぞれのスペシャリストになっていき、その智恵を協会が共有できる、そんな協会を目指していきたいと思います。

 

「広報は実践あってはじめて意味がある」 >>

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